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遺言書に有効期限ってあるの?

古い遺言書にも効力はあるの?

最近は「終活」という言葉も広まり、その一環として遺言書を作成する方も増えています。
そのため、遺言書を書いてから長期間経過するということも少なくありません。何年も前に書いた遺言書でも有効になるのか疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は遺言書の効力が続く期間や古い遺言書の注意点についてお話します。

遺言書に有効期限はある?

遺言書とは財産を持つ人が生きている間に誰にどの財産をどのくらい相続させるのかを指定しておくものです。
民法には、「遺言は、法律に定める方式に従わなければ、することができない。」と記されています。
つまり、遺言書は法律で決められた方式で書かなければ効力がないということです。
遺言書には普通方式の遺言書と特別方式の遺言書がありますが、通常、遺言書を作成するのは普通方式の遺言書になります。

特別方式は、遺言者の死期が迫っているときなどの特殊な状況の中で作られるものなので、命の危機がなくなって(普通方式による遺言ができるようになって)から6ヶ月後も生存している場合はその遺言が無効になります。

普通方式の遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)は、自分自身で作成するか公証役場で作成するかの作成方法の違いはありますが、作成して何年で効力がなくなるという期限は定められていません。有効な形式で書かれた遺言書であれば、何十年も前のものであってもそれより新しい日付の遺言書が作成されていなければ有効となります。

公正証書遺言の有効期限

公正証書遺言は自分で作成する自筆証書遺言とは異なり、公証人が関与して作成する遺言書です。公正証書遺言にも有効期限というものはありません。

作成した遺言書の原本は公証役場に保存されます。公正証書の保存期間は、特別の事由がなければ20年と定められています。近年は、長寿化の傾向もあり、遺言者が亡くならないまま作成から20年経過することも珍しくありません。そのため遺言書の保存は「特別の事由」に該当するとされ、20年が経過しても、遺言書の原本は保存されています。一般的には遺言者が120歳になるまで保存されているようです。

古い遺言書の注意点

上記のように遺言書には有効期限はありませんが、何年も前に書いた遺言書には注意すべき点もあります。
例えば、遺言書に記載した預貯金や不動産を生前に使っていたり売却していたりして遺言書の効力が発生した時には目的物がもうないという状況があり得ます。また、遺言書を書いた後に取得した財産があったり、相続人に指定した人が先に亡くなってしまったり、周囲の状況や財産の内容が変化していて、遺言書の内容と合わなくなる場合が考えられます。

もう一点考慮すべき点として、遺言書が複数存在するケースがあります。遺言書は何度でも作り直すことができるので、古い遺言書と新しい遺言書が残されていることがあります。この場合は、それぞれの遺言書が有効となります。
ただし、それぞれの内容で重なり抵触している部分については、日付が新しいものが有効になります。新しい遺言書の中で、古い遺言内容の取り消し・変更がなく、矛盾する内容の記載がなければ、その古い遺言書の内容は引き続き有効ということになります。

遺言書に期限はないといっても、時間が経つ中で、事情が変わったり、遺産の内容が変動したりする場合もあるので、定期的に見直し、書き換えを行う方が良いでしょう。

まとめ

今回は、遺言書に有効期限があるのか、古い遺言書の注意すべき点についてお伝えしました。
普通方式の遺言書に有効期限はありません。作成してから何十年経っていたとしてもその効力を失うことはありませんが、作成時とは事情が変わっていて、相続の際にトラブルとなってしまうこともあり得ます。
そうした状況を避けるためにも、遺言書を作成したら、定期的な見直しや更新をおすすめします。